掛け算の順序は「踏み台」
掛け算の順序論争は、実は掛け算そのものの問題ではなく、小学校教育において、一人ひとり異なる理解の段階に学校教育はどう向き合うべきなのかという問題である、という話。
山口 浩
2026.07.14
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小学校では掛け算に順序があると教えるべきなのか。それとも、交換法則が成り立つ以上、どちらの順番でも正しいと教えるべきなのか。
この話題は少なくとも十年以上にわたり、ネット上で繰り返し議論されている。小学校教員や算数教育の関係者には、「1つ分の大きさ×いくつ分」という順序で教えることには教育上の意味があると主張する人が少なくない。一方で、大学教員や数学を専門分野で使う人たちは「交換法則があるのに順序を固定するのは数学として誤りだ」と批判し、中には「超算数」と揶揄する人もいる。SNSには、ときどき順序を逆に書いただけでバツをつけられた答案らしき画像が投稿され、議論は再燃する。しかし、どちらも相手を「教育現場を知らない」「数学的にまちがっている」と批判するばかりで、いつまでも平行線をたどっているようにみえる。
個人的には「数学的にも正しいのに順序が教えたやり方とちがうという理由でバツを食らうのはおかしい」と考える派だが、それより議論がまったく進まないところがあまりに不毛に感じられる。そこで少し視点を変え、「教育とは何を目指す営みなのか」というところから考えてみたい。