共働きと家事の外部化について
近年、夫婦間の家事・育児分担をめぐる議論を目にすることが増えた。日本では依然として妻の負担が大きく、夫の家事参加をもっと増やすべきだという主張には十分な理由がある。しかしこうした議論に接するたびに少し気になることがある。夫がもっと家事をするようになれば、それで問題は解決するのだろうか。
最初に確認しておきたいのは、家族のあり方はそれぞれの家庭が相談して決めるべきものだということだ。夫婦がともにフルタイムで働く家庭もあれば、どちらかが短時間働く家庭もあり、一方が家事や育児に専念する家庭もある。どれが望ましい家庭像なのかを社会が一律に決めるべきではない。大切なのは本人たちが納得して選択できることだ。
働きたいのに家庭との両立が難しくて仕事を諦める人もいれば、家庭生活を重視したいのに経済的な事情から働かざるをえない人もいる。社会の制度や慣行が目指すべきなのは、特定の家庭像を普及させることではなく、望まない選択を強いられる人をできるだけ減らすことだろう。専門的な見地からは別の選択が望ましいと考えられる場合でも、配偶者や子どもを含む他者の権利や必要なケアを損なわない限り、本人たちの選択はできるだけ尊重されるべきだと考える。人が価値を認める生き方を実際に選べる自由を重視する点では、経済学者アマルティア・センのケイパビリティ論にも通じる考え方だ [1]。
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